2.環境負荷低減

建物を長く使うには?

もし、お持ちの住まいや賃貸住宅が、建築後40年近く、またはそれ以上の建物の場合、私達は、建物をさらに長く使い続ける方法についてご提案できます。弊事務所では、建物の構造を支える骨組みにあたる部分の状態を確認したうえで、必要な修繕内容や、建物の価値を増すためのご提案を行っています。より精度の高い改修計画とするため、排水管の状態の診断なども行っています。

集合住宅での排水管の診断については、排水主管(集合住宅で、各戸の排水が集まる太い配管)の中に、胃カメラのような内視鏡を入れて調べる方法があります。

この写真は、内視鏡を入れるために、排水管の最上部付近に、点検口を設けている作業の様子です。このあと、「最終桝」と呼ばれる、排水設備の敷地内の終点まで、排水主管の中を通す形で、内視鏡を進めて動画を撮影しました。この調査により、排水管の横引き部分に、水が常に溜まった、勾配不良部分があることを確認できました。

このように、排水管を事前に調べることで、不良部分のある排水管について、経路を変更して、配管を全更新するという対策をとることができ、改修工事後の不具合を未然に防ぐことができます。もし、排水設備を調べずに、「これまで使っていたのだから使えるだろう」と推定して工事を行ってしまうと、改修工事完了、入居後に新たな不具合が見つかり、追加の工事を行う必要に迫られることがあります。このような、予期せぬ出費や、入居中のお部屋に立ち入っての追加工事を防ぐために、適時に建物調査を行うことが有効といえます。

このほか、換気経路の確保や、給水管・ガス管の更新などを適切に行うことで、現時点で建築後40年近く、またはそれ以上の建物でも、建物の寿命を延ばし、価値を高めて、快適に使い続けることができます。

こちらの写真は、排水管新設途中の写真と、新設された電気メーターの写真です。

消防署や、ごみ置き場を移動する場合には清掃事務所とも協議して設計を進めることにより、建物の維持管理を適法に行うことができ、ごみの収集もスムーズに行うことができます。

燃費の良い住まいにしましょう

月々の光熱費は、どの程度かかっていますか?
住まいを建てたり、リフォームするときに、冷暖房費を含め、光熱費がどれだけかかる住まいになるかを検討することは、家計の面からも、またエネルギ―消費を抑制するためにも、ますます重要になってきました。弊事務所では、住まいの燃費をできるだけ良くするため、住宅の新築や改修工事の際に、断熱仕様を設定し、入居後の想定される光熱費を同時に算出して、最も経済的な予算配分案を、施主様へ提案することとしています。

例えば、このような鉄筋コンクリート造の区分所有マンション(無断熱、立地は東京都文京区)1戸の内装を全交換する場合に、どのような断熱を行うのが効果的かを試算してみました。

  • 床ユニットフロア下と天井内にグラスウールを設置 厚さ100mm
  • 外壁の室内側に「ネオマフォーム」を設置 厚さ100mm
  • 戸境壁の室内側には、お隣との音のトラブル防止を考慮し、グラスウール厚さ50mmを設置
  • 内窓として、樹脂製、複層ガラス(フロート板ガラス2枚)の製品を設置

としました。

この試算の結果、冷房と暖房にかかる電気代が、改修前は暖房113,271円/年間、冷房18,281円/年間となっており、改修後は暖房10,076円/年間、冷房16,705円/年間となっています。その2項目の差で、改修により、104,727円/年間 だけ、光熱費が節約できることが分かります。なお、これはマンションの中間階で専有面積48㎡の2LDK、40アンペア契約という設定をしましたので、最上階の場合や専有面積が大きい場合、より大きなアンペア契約の場合は、更に大きな差になる可能性があります。
このように、断熱による省エネルギー効果を、現行の電気単価に即して試算することができます。

施主様のご自宅はもちろんのことですが、これからは賃貸用住宅でも、家計に大きく影響する省エネルギー性能が優れている物件は、入居者に選ばれ、満室稼働する物件となっていくことが考えられます。賃貸住宅の過剰供給が行われ、借り手のつかない空き家が多くなっている昨今、よく仕様を検討したうえで賃貸住宅を建築・改修することが、つねに満室稼働させ、高い収益を得るためには、特に重要になります。ご自宅や賃貸用住宅の新築・改修を検討されている場合には、ぜひ、断熱工事を検討されることをお勧めいたします。また、その際には、弊事務所にて住まいの光熱費を試算することができますので、ご相談をいただければと存じます。

断熱工事を行った事例について、以下に紹介いたします。
建築物のエネルギー消費性能の向上の一つの方法として、外壁・床下・屋根や天井などに断熱材を入れたり、玄関扉や窓の断熱性能を上げる方法がよく採用されています。

この写真は、弊事務所にて設計施工を行った改修工事事例での、工事途中の写真です。断熱上、弱点になりやすい出窓まわりに、断熱材を充填しているところです。カウンターの下にも断熱材を入れました。

まりひろ建築士事務所設計施工事例
改修前の状態
改修後の状態

この写真は、弊事務所にて設計を行った改修工事事例での、樹脂製内窓の設置状況を撮影したものです。築40年程度の、鉄筋コンクリート造の建物で、従前は断熱材がなく、サッシはアルミの一重サッシでしたが、改修工事の際に、断熱材の設置に加えて、熱を伝えにくい樹脂製の内窓を設置し、断熱性能を高めました。
住まいを快適にする断熱リフォームの事例紹介

改修前の状態
改修後の状態

この写真は、弊事務所にて設計を行った改修工事事例での、玄関ドアの交換状況を撮影したものです。築40年程度の、鉄筋コンクリート造の建物で、従前の玄関ドアは断熱材なしの鉄扉でした。ドアに穴があく形の郵便受けの部分が、冬場に特に寒かったということです。改修工事の際に、断熱性能の高い玄関扉に交換し、断熱・遮音性能を高めました。

筆者はこの物件を借りて実際に住んでいますが、断熱性能については、事前に想定していた通りの結果が得られており、電気代は節約でき、とても快適に過ごしています。